2012小論文入門④
③へのコメント。
第1、2段落で、自分の好きな場所、そこから見えるものについて、丁寧に描写することが出来ている。変わった場所だからというわけではないが、自分だけのこだわりの場所を示しているのも良いのではないか。なにより、先を読みたくなる感じが、心地好い。第3段落は、どうしてその場所が好きかを述べているわけだが、視覚情報だけでなく、聴覚や嗅覚についても触れているため、リアリティが増している。また、他者から見た自分の存在を描いているのはとくに注目したい。全体として、ほとんどが描写なのだが、それだけでも筆者のその場所への強い思いが伝わってくる答案といえよう。その意味で、当然小論文としても評価出来るのだ。
③の答案
私の
部屋の窓には2つの大きな本棚が並べられてあり、どうしてか、その2つの本棚の間には微妙な隙き間がある。その隙き間は30㎝位だろうか、私が横向きにな
ればちょうどすっぽりはいる程度である。いつの日からだろうか、その隙き間に入りこみ、少し窮屈な思いをしながら窓の外を眺めることが日常となった。
私の
家は甲州街道沿いのマンションであり、街道の上を走る首都高速を真下に見下ろすことの出来る8階に住んでいる。自分の部屋はまさに首都高速に面しているた
め、夜になると首都高速を走る乗用車やトラック、バイクの光が無数に行き来しているのが見える。そう、本棚の隙き間に挟まり、暗い部屋で一人眺めているの
が好きなのである。
時間
の流れや、日々の様々なことを忘れ、何も考えることなく、夜の光を眺め続ける。防音窓の向こうから微かに聞こえるエンジン音がヘッドライトともに近づいて
くる。そしてそれにミスマッチでしかない書籍たちの匂い。少し窮屈だが、何故か妙に落ち着き、気持ちが安らぐのだ。ただ、向かいのマンションや、走る車の
中から、もしこちらを見ていたとしたら、さぞ不気味だろうとは思う。本棚の隙き間に挟まって横を向いたままじっと下を眺めている青年は、誰が見てもおかし
いはずだ。それでも私自身、そう見られている自分が少し滑稽に感じられ、悪い気はしていないのだ。少しかわった趣味と思われるかもしれないが、自分の部屋
の隙き間が、私の好きな場所なのである。






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